武藤順九の星が誕生
国際天文学連合(IAU:International Astronomical Union:本部パリ)、小惑星センタ
ー(米:ケンブリッジ市)発行の2009 年10 月4 日発行の「小惑星回報」(Minor Planet Circular)によって、「武藤順九」という小惑星が誕生しました。

私たちの住む“地球”は[惑星]という天体の1つですが、現在、地球を含め8つの大きな惑星が太陽の周りを回っています。近年、その中の火星と木星の間(空隙)に“小さな”惑星が多数発見され、[小惑星]と呼ばれています。惑星は、もともと塵のような存在から小石、小石から岩、岩塊から大きな天体・惑星へと、衝突・合体を繰り返しながら成長したと考えられています。何らかの原因で成長しきれなかった集団、つまり、未だ太陽系形成時の原始の姿をとどめているのが小惑星だと考えられています。最近、その一部に地球軌道と接近遭遇するものが発見され、もし、地球と衝突すれば人類滅亡の危険をはらむほどの破壊力をもっているため、世界各国が協調して危険な小惑星の捜索を行っています。


世界各国の天文学者が集まる国際天文学連小惑星命名辞典第5版(左)と増補版合は、天文学に関わるあらゆる決議を行っています。最近の話題として、冥王星を太陽系の惑星から降格し、その数を8つにすることを採択しました。太陽系の小天体名は、同連合第20委員会傘下の「太陽系小天体命名委員会」の審査を経て公表されます。この名前は、夜空に輝く七夕で有名なこと座の1等星“ベガ”や、さそり座の“アンタレス”などと同じく、世界共通の星の“学術名”となります。


小惑星の名前は3年に1度(IAU 総会開催年)更新される『小惑星名辞典(Dictionary of Minor Planet Names:現在第5版・増補版)』に収録されます。名前は人類(文明)が存在する限り未来永劫残されてゆきます。


現在、軌道が求められ、番号が登録されている小惑星は20万個以上。当初はギリシャ神話やローマの古典に登場する女神の名前を付ける決まりでしたが、300個を超えるあたりから女神の名前が足りなくなってしまいました。そこで、星の名前では唯一、発見した者に自由な名前を命名委員会に提案する権利を認めています。天文学者や科学者、そのゆかりの地名が大多数を占めていますが、会社名やペット、キャラクターや政治家の名前は基本的に禁止及び制限しています。

(6098)Mutojunkyu

小惑星“武藤順九”は、1991年10月31日に札幌市在住の渡辺和郎(わたなべ・かずお)と釧路市在住の松山正則(まつやま・まさのり)によって共同で発見されました。発見後の長期に及ぶ追跡観測によって軌道が正確に決まり、1994年9月19日に6098番目に登録されました。軌道の確定は、人でいえば戸籍ができたような状態になり、いつでも計算でその正確な位置を知ることができます。


小惑星“(6098)武藤順九”は、やや潰れた楕円軌道で太陽の周囲をおよそ3.32年かけ一周しています。その大きさは直径約12kmぐらいと推定され、最近発見される数百mクラスの小惑星と比較し大きな部類に入ります。

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